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消費アクティビズムとは?生活者に応えることで、モノだけではないつながりを創る企業の取り組み例

企業と生活者の新しいつながり方を再考する必要性が高まっています。これには、お互いに影響を与える環境が整えられつつあることが背景にあります。現代の生活者は、企業のふるまいを注意深く観察し、「消費アクティビズム」と呼ばれる行動でその企業に対する賛否を表明します。一方、企業は生活者の期待や要求に応えるために「ブランドアクティビズム」という形でアプローチを進化させています。本記事では、消費アクティビズムから、その概念が何を意味し、市場にどのような変化をもたらしているのかを整理します。さらに、消費アクティビズムによって変化を求められた企業の具体的な事例と行動を紹介し、企業がどのようにして生活者との新しい関係を築いているのかを考察します。

消費アクティビズムと消費行動の変化

消費アクティビズムとは、生活者が自分の購買行動を通じて社会的、環境的、政治的なメッセージを発信し、企業や市場に影響を与えようとする活動を指します。このアクションは、グローバル化、情報技術の進化、そして社会問題に対する関心の高まりによって加速しています。生活者は、単に商品やサービスを購入するだけでなく、自らの価値観や信念に基づいて選択を行うようになりました。その背景には、消費行動の大きな変化があります。従来の生活者は、価格や品質を重視して購入を決定していましたが、現代の生活者はそれだけでなく、企業の倫理的な行動や社会的責任にも注目しています。

消費行動の変化を「DECAX」モデルで整理する

この変化を理解するために、数ある消費行動モデルから「DECAX(参考:電通報「本当のところ、みんな、どんな行動をしている?」)」を参照し、以下のように整理します。

  • D (Discovery): 生活者はソーシャルメディア、クチコミ、広告などを通じて新しい商品やサービスを発見します。

  • E (Engagement): 生活者は発見した商品やサービスについて詳しく調べ、自分や自分の生活と良い関係を築けるのかを考えます。ここでは、企業の社会的責任や倫理的な行動が重要な役割を果たします。

  • C (Check): 生活者は、価格や品質に加え、企業の倫理性や社会的影響を確認して、購入を検討します。

  • A (Action): 生活者は購入行動を起こしますが、その際に企業の社会的責任や環境への配慮が購入決定に影響します。

  • X (Experience): 購入後の体験を通じて、生活者はブランドとの関係を深め、再購入やクチコミによる拡散を行います。ポジティブな体験は、ブランドロイヤリティを高める一方、ネガティブな体験は企業の評判に悪影響を及ぼします。

DECAXモデルになぞらえて消費アクティビズムを考えると、「E」と「C」の結果が「A」と「X」という行動に大きく関与する姿が見えてきます。消費者が「E」と「C」の結果をもとに起こすアクションの具体例が以下の3つになります。

消費アクティビズムの具体的なアクション

ボイコット

生活者が特定の企業やブランドの商品を購入しないことで、その企業に対する抗議の意志を示す行動です。例えば、労働条件の悪い企業の製品や、環境破壊を引き起こしている企業の商品をボイコットすることで、企業に改善を促すことができます。

バイコット

ボイコットの対極にある行動で、倫理的に見て望ましい行動を取っている企業の商品を積極的に購入することです。例えば、環境に優しい商品を提供している企業や、社会貢献活動を行っている企業の商品を購入することで、その企業の活動を支持します。

ソーシャルメディアキャンペーン

生活者がソーシャルメディアを活用して企業に対する意見を発信し、他の消費者に呼びかける活動です。ハッシュタグを用いたキャンペーンや、企業の不正行為を告発する投稿などが例として挙げられます。

ボイコットだけではなく、買って応援するバイコットが含まれること、そしてそれらのアクションを広げるためのソーシャルメディアを有していることが消費アクティビズムの影響力を高めています。企業は生活者と長いつながりを実現するために、情報をオープンにし、様々なチェックを受けながら、良い関係を保ち続けることが求められます。

消費アクティビズムを理解し、対応するためのポイント

企業が消費アクティビズムを理解し、それに対応するための3つのポイントを示します。

生活者の声を聴く

企業は生活者の声を積極的に聴き、その期待や要求を理解することが重要です。お客さまからのフィードバックを聴取し、分析することで、彼らが何を求めているのかを把握することが大切です。

透明性を確保する

企業の活動や方針について透明性を保ち、生活者に対して誠実な情報提供を行うことが求められます。これにより、企業に対する信頼が高まり、生活者との関係が強化されます。

社会的責任を果たす

企業は、自社の活動が社会や環境に与える影響を考慮し、積極的に社会的責任を果たす取り組みを行うことが重要です。これにより、企業のブランド価値が向上し、生活者からの支持を得ることができます。

消費アクティビズムに対応する、先進企業が取り組むブランドアクティビズムの具体例

生活者が企業の行動に対して意識的な購買選択を行う消費アクティビズムに対して、企業は「ブランドアクティビズム」によって応え、社会的・環境的な問題に対して積極的に取り組みます。このように、生活者と企業が市場において密接に関連し、互いに影響を与えあうことで、良い市場の変革を推進する強力な力となった先進企業の事例を紹介します。

ナイキとブラック・ライブズ・マター

(NIKE,Inc.「Our Commitment to the Black Community」より)

ナイキは、ブラック・ライブズ・マター(BLM)運動を支持するキャンペーンを展開し、社会的正義を訴えるブランドアクティビズムを実践しています。この取り組みに対して、多くの生活者がナイキ製品を購入することで支持を表明し、消費アクティビズムの力を示しました。生活者の支持はナイキのブランド価値を高め、同社の社会的責任に対するコミットメントをさらに強化する循環を生んでいます。

スターバックスとフェアトレード

(スターバックス コーヒー ジャパン「[what is…?]フェアトレード:地球環境と人権を守っていくためにできること」より)

スターバックスは、フェアトレード認証を受けたコーヒー豆を使用することで、エシカルな消費を促進するブランドアクティビズムを展開しています。生活者は、フェアトレード製品を選ぶことで、スターバックスの取り組みを支持し、持続可能な農業を支援しています。この相互作用は、生活者と企業が協力して社会的課題に取り組む好事例となっています。

パタゴニアと環境保護

(パタゴニア日本支社「地球が私たちの唯一の株主」より)

アウトドアブランドのパタゴニアは、環境保護活動を積極的に推進するブランドアクティビズムの先駆者です。生活者は、環境に配慮した製品を購入することで、パタゴニアの取り組みを支援し、自身も環境保護に貢献しています。同社は、売上の1%を環境保護団体に寄付するなど、具体的なアクションを通じて生活者の期待に応えています。2022年には、創業者の「イヴォン・シュイナード」が同社の全株式を環境危機対策に取り組むNPOと信託に譲渡すると発表し、世界の多くの生活者から賞賛を得ました。創業者がいなくなってしまっても、同社のブランドアクティビズムを持続可能な形とし、消費アクティビズムに応え続けるためのアクションです。

消費アクティビズムに応えるブランドアクティビズムを展開し、「モノ」だけではない企業と生活者のつながりを築く

ナイキやスターバックス、パタゴニアといった先進企業の取り組みの例を見ると、企業やブランドが製品・商品のような「モノ」ではないことで生活者との関係を築きはじめていることがわかります。消費アクティビズムに応えることは、マーケティングの課題とされている「グッズ・ドミナント・ロジック(G-DL)」から「サービス・ドミナント・ロジック(S-DL)」(参考記事:「大手食品・日用品メーカーがはじめたECサイトと共通IDを活用したサービス・ドミナント・ロジック(S-DL)への挑戦」)への移行を進めるための推進力にもなります。

こうした相互作用と好い循環を生むためには、生活者の声に耳を傾け、透明性を確保し、持続可能な取り組みを強化することが不可欠です。App Unityでは、顧客を理解し、永く親密な関係を続けていくための、S-DL構築のための第一歩となるID統合を支援しています。店舗、ECサイト、コミュニティサイトなど、さまざまなチャネルのログインID・顧客情報・ポイントを独自開発することなく低価格で連携するための「IDソリューション」について、活用・検討の際にはぜひご相談ください。

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執筆者紹介

舟久保 竜

総合マーケティング会社で23年間、NBメーカーの商品開発・販促企画のアイディア創出のための調査から、クチコミマーケティングの企画・施策実行までの支援を行う。新しいモノが買われなくなるレコノミーの時代の到来を実感し、フィードフォースに加入。統合IDとCDPを活用した人間中心のマーケティングのためのSDL構築と、生活者と企業の新しい生態系「IDecosystem」の実現を目指す。

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