服を捨てられない時代がやってくる ── トレンドの原動力を切り取る Lens of Trends 解説記事

本記事はOSINTとPEST分析を通して気づきを得たトレンドについて発表するマーケティングセミナー「Lens of Trends」で取り上げたトピックの解説記事です。セミナーでは毎月9つのトピックを取り上げています。セミナーのアーカイブ動画や、詳細データを掲載している講演資料の請求も承っています。本ページ下部のリンクよりご請求ください。
EUで売れ残り服の廃棄を禁止するエコデザイン規制が成立
2024年5月末、EUの閣僚理事会で環境に配慮した商品の設計を義務付ける「エコデザイン規制」が採択されました(参考:日本化学繊維協会)。以前から環境に関する配慮が高いEUですが、この規制によってアパレル事業者は売れ残った衣類の廃棄が禁止されることになりました。アパレルの廃棄は環境に与える負荷がとても大きく、問題視されていましたが、流行品を低価格で大量消費する「ファストファッション」による衣料品の大量廃棄を食い止める狙いがあります。アパレルメーカーは売れ残った衣料品を再利用したり、修繕して寄付に回したりする対応を迫られることになりました。
日本でも服を捨てられない時代がやってくる
日本でも衣類の再利用を進めるための仕組みづくりの検討が進んでいます。環境省によると、2022年に国内で新規の衣類が79.8万トン供給されたのに対し、48.5万トンが廃棄されています(参考:環境省)。消費者が手放した衣類は廃棄され、多くが有効利用されていないのが現状です。経産省は再利用を進めるため、廃棄された衣料品の繊維から新たな繊維をつくる際の規格を設けます。衣類のリサイクルは、金属など他の再生資源に比べ遅れていますが、若者の環境意識は高まっています。経産省は2030年度にリサイクル繊維の生産体制を5万トンとする目標を新たに掲げています。併せて、2022年に37億点の衣類の国内供給量を2030年に減少に転じさせ、2040年には1990年代と同水準の20億点に減らすことも目標にします。
繊維製品の回収サービス「Wear to Fashion」
こうしたアパレルの環境配慮の浸透を背景にして、繊維製品の回収サービスが始まっています。繊維分野に強い伊藤忠商事は使用済みの衣類を再利用する事業に力を入れています。出資する新興企業ECOMMITが提供する繊維製品回収サービス「Wear to Fashion」と連携し、全国の衣料品店や商業施設に衣類を回収する箱が多数設置されています。集めた古着を仕分けし、古着店に卸しているほか、ポリエステル製の使用済み衣類については、中国の協力工場で元の原料に戻して衣料向けに再利用する事業も展開しています。
空き缶・ペットボトル、食品トレーなど、回収してリユース・リサイクルすることは当たり前になっています。これから衣類の回収・リサイクルも当たり前になってくるでしょう。その次はなんだろうか。このように、循環型のサーキュラーエコノミーは今後さらに進んでいくと考えられますので、その先を社会を考慮し、マーケティングに活かしていく必要があるのではないでしょうか。
※本トピックは「Lens of Trends:24年7月号」で取り上げました。資料やデータの詳細をご覧になりたい方は、以下よりご請求ください。
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執筆者紹介

舟久保 竜
総合マーケティング会社で23年間、NBメーカーの商品開発・販促企画のアイディア創出のための調査から、クチコミマーケティングの企画・施策実行までの支援を行う。新しいモノが買われなくなるレコノミーの時代の到来を実感し、フィードフォースに加入。統合IDとCDPを活用した人間中心のマーケティングのためのSDL構築と、生活者と企業の新しい生態系「IDecosystem」の実現を目指す。





















