Shopifyのテーマ更新前に、お客様アカウントの移行を確認する──Dawn 16.0.0から考える公開までの順序

Shopifyのテーマ更新やリニューアルを予定している場合、公開日を決める前に確認しておきたいことがあります。更新先のテーマが、現在使っているお客様アカウントに対応しているかという点です。たとえば、Shopifyの公式テーマ「Dawn」の16.0.0では、従来のお客様アカウントを使うストアは、このバージョンを公開する前に、新しいお客様アカウントへ移行する必要があるとされています。この条件に当てはまるなら、テーマの制作スケジュールに、アカウント移行の準備と検証も含める必要があります。デザインが完成した後にアカウント移行も必要だと分かると、その準備や検証に時間がかかり、テーマの公開予定日を延期しなければならない場合があります。
この記事では、テーマ更新を予定するEC担当者に向けて、自社への影響を確認し、公開までの順序を決めるためのポイントを整理します。移行全体の影響範囲は、まとめ記事「Shopify『お客様アカウント』移行に向けて、準備・確認・アクションを整理します」をご覧ください。
仕様に関する記述は、2026年9月10日に確認した公式情報に基づきます。以下、移行先を「新しいお客様アカウント」と表記します。
最初に、更新先のテーマとアカウント方式を確認する
まず、現在公開しているテーマの名前とバージョン、更新先のバージョン、お客様アカウントの利用方式を確認します。テーマ名が同じでも、バージョンによって対応条件が変わるためです。テーマのバージョンと更新内容は、管理画面の「オンラインストア」から確認できます。更新の詳細にあるリリースノートを開き、customer accounts、legacy、loginなどの記述を探してください。更新版は下書きのテーマとして追加でき、追加しただけで公開中のテーマが切り替わることはありません。
アカウント方式は「設定」の「お客様アカウント」で確認します。確認結果を、次のように判断につなげると整理しやすくなります。
現在の状況 | 公開までに判断・確認すること |
|---|---|
従来方式を使用し、更新先が新しい方式への移行を要求している | アカウント移行をテーマ公開の前提にする。Dawn 16.0.0はここに該当 |
従来方式を使用し、更新先も従来方式に対応している | テーマ更新を先に進められるか、既存のログインと会員機能を検証する |
新しい方式へ移行済み | 更新先のヘッダーからログインし、必要な会員機能へ到達できるか確認する |
更新先の対応状況が不明 | テーマ提供元や制作会社に確認してから公開の判断をする |
提供元に問い合わせる際は、「新しいアカウントに対応していますか」だけでなく、「従来のお客様アカウントを使ったまま、このバージョンを公開できますか」と確認すると、今回必要な答えが得られます。
Dawn 16.0.0では、ログインの入口と会員ページが変わる
2026年8月10日に公開されたDawn 16.0.0では、従来のお客様アカウント用のテンプレートとセクションが削除されました。ヘッダーのアカウントアイコンも、独立したログインページへの遷移から、Shopifyのお客様アカウント用ポップオーバーを開く方式へ変更されています。

従来の会員ページを使う前提が変わるため、ヘッダーの見た目だけを確認して公開可否を決めることはできません。ログイン後に注文履歴を見られるか、ポイントや定期購買の管理画面へ進めるかまで、確認範囲を広げる必要があります。背景には、テーマストアの提出要件の変更があります。Shopifyは2026年7月30日から、新規テーマと既存テーマの更新版に対し、PC・モバイル双方のヘッダーにshopify-accountコンポーネントを含めることを必須にしました。同時に、従来のお客様アカウント用テンプレートは提出時の必須要件ではなくなっています。
ここで区別しておきたいのは、「提出時に従来用テンプレートが必須ではなくなった」ことと、「すべてのテーマで削除された」ことです。Dawn 16.0.0では削除が明記されていますが、別のテーマについては、その提供元の案内を確認してください。この要件変更によって、公開中の全ストアのテーマが一斉に置き換わったという意味でもありません。
テーマ公開の前提として、会員機能をどこまで整えるか決める
新しいお客様アカウントは、ストアのテーマとは別に管理されます。従来のマイページに加えたLiquidの変更や独自機能は、移行先で必要なものを選び、対応するアプリなどで準備することになります。
そのため、テーマ更新と一緒に進める場合も、「テーマのデザインが完成したら、マイページも完成する」とは考えず、会員機能の準備状況を別に管理することをおすすめします。たとえば、ポイント表示と定期購買の管理リンクをマイページに設置しているストアを想定します。移行先で注文履歴が表示されても、それだけでは公開の準備が整ったとはいえません。お客様が残高を確認し、次回の配送を変更するところまで進めて、はじめて必要な機能がそろいます。整理の際は、画面のパーツではなく、お客様がおこなう操作ごとに書き出すと抜けを見つけやすくなります。
お客様がおこなう操作 | 移行先で確かめること |
|---|---|
ログインして注文履歴を見る | 想定した顧客の注文が表示されるか |
ポイント残高を確認し、利用する | 残高表示と利用導線の両方が用意できるか |
定期購買の配送日を変更する | 契約の確認から変更完了まで進めるか |
会員限定コンテンツを開く | 必要な会員条件でアクセスできるか |
すべてを移行日に作り直す必要があるかどうかも、この段階で判断します。装飾や使われていないリンクの整理は後回しにできても、継続中の契約を管理する操作は優先して確保したいところです。判断基準を「従来の画面と同じか」だけにすると、注文履歴の確認や定期購買の変更など、公開前に使えるようにしておくべき機能と、後から調整できる装飾を分けておくと、何を完了すれば公開できるかが明確になります。
準備を並行して進め、切り替えには順序をつける
更新先が新しいお客様アカウントを前提とする場合は、「会員機能の準備・検証→アカウント移行→移行後の確認→更新テーマの公開」という順序を基本に計画します。テーマの制作とアカウント側の準備は並行して進められますが、公開判断は必要な会員機能がそろったことを条件にします。ここで気をつけたいのが、テーマの下書きとアカウント設定の扱いの違いです。下書き中のテーマを使っているからといって、デザインが完成した後にアカウント移行も必要だと分かると、その準備や検証に時間がかかり、テーマの公開予定日を延期しなければならない場合があります。
Shopifyの移行手順では、切り替えを完了する前に、新しいお客様アカウントのURLを開いてテストできます。この段階では、オンラインストアとチェックアウトのリンク先は従来のお客様アカウントのままです。ストアの設定画面の「お客様アカウント」で操作が可能です。実際に切り替わるのは、手順の最後にアップデートを実行した時点です。

また、アカウント移行からテーマ公開まで間隔を空けるなら、その間に使う現行テーマでも、新しい方式でログインできるかを確認します。最終的な組み合わせだけでなく、切り替え途中の組み合わせも確認対象です。たとえば、テーマの公開予定日までに必要なアプリ対応を完了できない場合は、移行前提のテーマの公開日を見直す判断になります。先に移行設定だけを切り替えて日程に合わせると、必要な会員操作が欠けた状態になりかねません。
制作会社には、テーマ名・更新先のバージョン・公開希望日に加え、会員機能の一覧を共有し、「どの操作の確認が終われば公開できるか」を合意しておくと、進行中の判断がしやすくなります。
公開前は、お客様の操作を最後まで確かめる
公開前の確認では、PCとスマートフォンで、未ログインの状態から操作を始めてください。見た目の確認に加えて、次の点を検証します。以下は、本記事で提案する実務上の確認項目です。
ヘッダーとスマートフォンのメニューから、意図したログイン画面を開けるか
ストアで提供するログイン方法で認証し、想定した顧客の情報を表示できるか
注文履歴、住所管理、ポイント、定期購買など、利用している機能を最後まで操作できるか
商品ページや独自の会員案内ページからも、正しいログイン導線につながるか
問い合わせ窓口やログイン方法の案内が、移行後の動作と一致しているか
既存顧客と新規顧客では、表示される情報や案内が異なる場合があります。テスト用の顧客を用意し、必要に応じて定期購買の契約者なども含めて確認すると、実際の利用に近づけられます。
不具合時の対応も、テーマを戻す作業とアカウント方式を戻す作業を分けて決めておきます。旧テーマを再公開しても、アカウント設定は元に戻りません。テーマの公開とアカウント方式の設定は、別々に管理されます。公式ヘルプでは、従来方式へ戻せる期間は移行後30日以内と案内されているため、切り替え時点の条件を確認し、担当者と判断基準を記録しておきます。
テーマ更新の計画を立てる際は、まず更新先のリリースノートを開いてみてください。Dawn 16.0.0のように移行が公開条件になっている場合、アカウント側の準備期間が公開日を左右します。早い段階で条件が分かれば、必要な会員機能を整理し、制作と移行を無理なく組み合わせられます。
移行全体の影響を確認したい方は、お客様アカウント移行のまとめ記事をご覧ください。テーマ更新に伴う現行実装の棚卸しや移行計画については、お客様アカウント移行のご相談も承っています。
執筆者紹介

舟久保 竜
総合マーケティング会社で23年間、NBメーカーの商品開発・販促企画のアイディア創出のための調査から、クチコミマーケティングの企画・施策実行までの支援を行う。新しいモノが買われなくなるレコノミーの時代の到来を実感し、フィードフォースに加入。統合IDとCDPを活用した人間中心のマーケティングのためのSDL構築と、生活者と企業の新しい生態系「IDecosystem」の実現を目指す。