賃金のジェンダーギャップは転職時の報酬の決め方に原因があったことがわかる ── トレンドの原動力を切り取る Lens of Trends 解説記事

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24年のジェンダー・ギャップ指数、日本は118位G7内で最下位
世界経済フォーラムは2024年6月に、男女平等の実現度合いを示すジェンダー・ギャップ指数を発表しました(参考:内閣府男女共同参画局「男女共同参画に関する国際的な指数」)。日本は調査対象となる146カ国中118位でした。過去最低だった前回の125位よりも改善が見られましたが、主要先進7カ国の中では最下位。アジアの中でも、上位に位置するフィリピン、シンガポールに及ばず、94位の韓国や106位の中国よりも下回る状況となっています。1位は15年連続アイスランドで、スコアは0.935。ジェンダーギャップが93.5%解消されていることを示します。2位がフィンランド、3位がノルウェーで、上位を北欧諸国が占めています。アジアではフィリピン(25位)やシンガポール(48位)の順位が高くなりました。
日本の男女格差、教育・健康では小さく、政治・経済に課題
ジェンダーギャップ指数は4つの分類の評価によって順位が決まります。日本は教育と健康ではジェンダー・ギャップが小さい社会を作れているのですが、課題が大きいのが政治と経済です。低位にある政治の順位は138位から113位に上昇しました。女性閣僚の比率が4分の1と前回調査時点の8%より増えたことが評価されています。経済分野は120位と前年とほぼ横ばいでした。指標となる女性管理職比率は17.1%と低く、同一労働での賃金格差や推定所得の差も大きくなりました。日本は男性の賃金を100とすると、女性は78.7しか稼いでおらず、この格差はOECD平均の2倍近い大きさとなっています。
EUは2023年、域内の企業に同一労働同一賃金の強化を義務付ける指令を出し、OECD諸国では格差の報告を怠った場合などの罰金が少なくとも13カ国で導入されています。
説明できない格差を分析、オファー年収の差が原因と判明
日本でも徐々に賃金体系の透明性を高める取り組みが広がっています。メルカリは23年、男女間賃金格差(37.5%)の算出に加えて、役割・等級や職種などによる差に起因しない「説明できない格差」を算出しました。職種やグレードの影響をできる限りなくしたとしても、女性の方が男性よりも平均的に7%賃金が低いことがわかりました。この差がどこから生まれたのかを、さらに分析してみた結果、オファー年収の差が原因だと判明しています。中途採用が9割以上を占め、入社時の報酬は前職の給与を参考に決めていました。女性の方が賃金が低かったり、希望年収を低めに設定したりする傾向があり、入社時に9%の差がありました。メルカリは採用時に前職の給与を参照しないように制度を変更しています。
こうした元からあった格差を基準としてしまうアンコンシャス・バイアスが日本には多く、それが世界で低位のジェンダー・ギャップ指数につながっています。リスキリングに取り組む人が増えています。せっかく新しい技術を手につけても、その状態の評価ではなく、前の評価の延長で賃金が決められてしまったら、男女関わらずリスキリングの機運が広がらない状態となってしまいそうです。さまざまなギャップの解消には、以前の基準ではなく、今の評価をするべきだと気付かされる事象です。
※本トピックは「Lens of Trends:24年7月号」で取り上げました。資料やデータの詳細をご覧になりたい方は、以下よりご請求ください。
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執筆者紹介

舟久保 竜
総合マーケティング会社で23年間、NBメーカーの商品開発・販促企画のアイディア創出のための調査から、クチコミマーケティングの企画・施策実行までの支援を行う。新しいモノが買われなくなるレコノミーの時代の到来を実感し、フィードフォースに加入。統合IDとCDPを活用した人間中心のマーケティングのためのSDL構築と、生活者と企業の新しい生態系「IDecosystem」の実現を目指す。
























