EVの指数関数的な成長が難しいことがわかりはじめる ── トレンドの原動力を切り取る Lens of Trends 解説記事

本記事はOSINTとPEST分析を通して気づきを得たトレンドについて発表するマーケティングセミナー「Lens of Trends」で取り上げたトピックの解説記事です。セミナーでは毎月9つのトピックを取り上げています。セミナーのアーカイブ動画や、詳細データを掲載している講演資料の請求も承っています。本ページ下部のリンクよりご請求ください。
電気自動車の国内販売台数の伸びが大幅鈍化
米テスラを中心に、EV(電気自動車)の成長が注目され続けてきました。脱炭素社会を実現するためにとても大切なのがEVの成長です。しかし、2023年にはその成長の停滞を示すデータが発表されはじめました。まず、2023年の日本国内のEV販売台数は、前年度比2%増の7万9198台でした。過去最高は更新しましたが、前年度比で約3倍となった22年度から伸び率は鈍化し、10月から2四半期連続で前年割れとなりました(参考資料:日本自動車販売協会連合会「燃料別登録台数」)。新たな商品を積極的に試す「イノベーター」「アーリーアダプター」の購入が一巡し、販売にも影響が出てきています。国産車だけでなく、海外メーカーの販売も落ち込んでいます。テスラの2024年1~3月の国内販売台数は、前年同期比9%減と発表されました(参考資料:読売新聞オンライン)。低価格の中国EVや中古車価格の低下により、4年ぶりの減収減益となりました。
テスラの中古車価格低下によるバタフライエフェクト
テスラの成長ブレーキの原因を確認すると、とても興味深いバタフライエフェクトが見えてきます。技術革新が早すぎるから、そんな意外な理由が成長ブレーキの原因となっている可能性があります。
EVは技術革新が早い
新車と旧車の性能の違いが顕著になる
性能がいい新車への乗り換えが早い
性能が劣る旧車種のリセールバリューが低い
中古価格の不透明さからEVに切り替えたくても様子を見る人が増える
成長鈍化につながるバタフライエフェクトは上記のように進みます。技術革新が早いために、リセールバリューが急落し、世界的に企業や消費者がEVを避ける動きが広がっています。
アップルは市場から撤退。EVでは指数関数的な成長は難しいのか
テスラが踊り場を迎える中、米アップルは開発中のEV「アップルカー」の発売を断念したと2024年2月に報道されました(参考情報:WIRED)。これまでアップルが手掛けてきた製品は、半導体の「ムーアの法則」に則って、技術革新とともに、製品も市場規模も指数関数的に成長してきました。一方、自動車は価値を左右するのが車体、とりわけエンジンや電池であるため進化の速度は比較的ゆったりしています。自動車産業の構造から生まれるこの差はIT企業にはもどかしく感じられるのではないでしょうか。ムーアの法則は時間の経過とともに指数関数的な成長を約束するけど、電池の進歩はそうではありません。劇的な成長やイノベーションを目指す企業にとって「電気自動車」は積極的に取り組むべき市場になり得るのだろうか。踊り場を迎えたテスラの今後の打ち手にも注目したいと思いました。
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執筆者紹介

舟久保 竜
総合マーケティング会社で23年間、NBメーカーの商品開発・販促企画のアイディア創出のための調査から、クチコミマーケティングの企画・施策実行までの支援を行う。新しいモノが買われなくなるレコノミーの時代の到来を実感し、フィードフォースに加入。統合IDとCDPを活用した人間中心のマーケティングのためのSDL構築と、生活者と企業の新しい生態系「IDecosystem」の実現を目指す。
























