孤独への対応が加速する ── トレンドの原動力を切り取る Lens of Trends 解説記事

本記事はOSINTとPEST分析を通して気づきを得たトレンドについて発表するマーケティングセミナー「Lens of Trends」で取り上げたトピックの解説記事です。セミナーでは毎月9つのトピックを取り上げています。セミナーのアーカイブ動画や、詳細データを掲載している講演資料の請求も承っています。本ページ下部のリンクよりご請求ください。
2024年4月1日、孤独・孤立対策推進法が施行される
日本では4月1日から、政府に孤独・孤立対策の重点計画を策定する本部が設置されるほか、地方自治体に若者や高齢者らの孤独・孤立対策を検討する協議会を設ける努力義務を課して「孤独への対応」について政府と地方自治体の連携が進みます。孤独問題が社会的に大きく注目されたのは20年の新型コロナウイルスの感染拡大がきっかけのひとつでした。外出自粛や非接触、リモートワークに伴い孤独を感じる人が増えました。世界では英国が他国に先駆けて18年に孤独担当大臣を設置しています。独国や米国でも孤独・孤立に対する対策や、関連する研究が進められているとともに、WHO(世界保健機関)でも孤独を公衆衛生課題と位置づけ、委員会を発足させて対策を進めています。
孤独な単身高齢者の増加に加え、若年層にも孤独を感じる比率が高くなっている
政府が行った調査(参考:孤独・孤立の実態把握に関する全国調査)では、日本人の4割が何らかの孤独感を抱えているとの結果が出ています。総務省が公表している2020年の国勢調査(参考:令和2年国勢調査)では、一人暮らしが世帯全体の38.0%を占め、単身高齢者は5年前の前回調査に比べ13.3%増の671万6806人に増えました。また、孤独・孤立の実態把握調査では孤独を感じる人は、若年層や一人暮らしの比率が高いという結果が出ています。国立社会保障・人口問題研究所によると(参考:人口統計資料集)、男女の未婚率は20年に男性で28.3%、女性で17.8%であり、孤独な単身者が増えています。家族が当然のように存在するものではなくなっている日本社会において、孤独・孤立への課題が年々大きくなっています。
孤独は寿命に与える影響度が高い
岡本純子さんの著書「世界一孤独な日本のオジサン」で引用されているデータによると、孤独はタバコを吸うより、お酒を飲むより、肥満であることよりも寿命に与える影響が高いと言われています。高齢化に加えて、これからも増えていく一人暮らし世帯が感じる孤独によって、医療に関する負担がさらに増加する可能性があります。さらに、孤独が常態化すると人は自己中心的に、攻撃的に、反社会的になるという研究結果(参考:THE CUT「A New Study Says Loneliness Turns People Selfish」)も各所から発表されています。医療に加えて防犯の面においても、孤独は大きなコスト負荷になりかねません。
進化したAIを孤独対策に活かそうとする動きが活発に
このような孤独が進む日本社会に対応するために、AIを活用し孤独対策に活かそうとする動きが活発になっています。現実社会やネット上のSNSで孤独を感じる人の対話相手として登場し始めたのが、ユーザーに寄り添うAIです。癒やしを与えるパートナーになれるのか、新たな役割のあり方が問われています。時間や場所を問わず、いつでも対話できるAIの活用は孤独を和らげる手段の一つになりますが、インターネットやSNSと同様にAIそのものに依存するリスクも否定はできません。AIが人の感情にもたらす作用はまだ未知数であり、友人や同僚など周囲の人との相互関係、行政や支援団体によるサポートと組み合わせた最適解が求められています。
孤独への対応が加速するとともに、その対応に対する技術革新も議論も加速していくことが想像できます。AIのような先進技術ではなくても孤独に対するソリューション・商品が求められています。
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執筆者紹介

舟久保 竜
総合マーケティング会社で23年間、NBメーカーの商品開発・販促企画のアイディア創出のための調査から、クチコミマーケティングの企画・施策実行までの支援を行う。新しいモノが買われなくなるレコノミーの時代の到来を実感し、フィードフォースに加入。統合IDとCDPを活用した人間中心のマーケティングのためのSDL構築と、生活者と企業の新しい生態系「IDecosystem」の実現を目指す。
























