コアファンはECで買い物をしていなかった。データから見える熱量の高いコアファンとは?ファンマーケティングのリアルを語る

ID統合を実施し、顧客データからお客様を深く理解することで、心のこもった「おもてなし」の提供を目指すサントリーサンバーズ。
実際にデータを分析したからこそ見えた、仮説とは違うファンの姿があったと語ります。しかし、今はようやくファンの姿が見えてきた段階で、まだまだ理想の「おもてなし」はできていません。そこで、今後CRMで実現したいことも話していただきました。
本記事は、2023年9月に開催したイベント「サントリーホールディングスと語る『LINE活用×ID統合の未来』」のイベントレポートです。全四部構成でお届けしており、本記事は第四部です。今回は対談形式でお届けします。
第一部:サントリーのスポーツがID統合に取り組むのは、心のこもった「おもてなし」を提供するため。社内を巻き込むきっかけはラーメン屋の事例だった。
第二部:チームのファンの8割は女性だった。データがあったからこそ見えたお客様の姿とファンマーケティングの方向性。
第三部:チームへの好意度が高いほど、ビールはプレモル!「全自動ビールサーバー」でさらなる行動データの取得に挑戦するサントリーサンバーズ。
第四部:コアファンはECで買い物をしていなかった。データから見える熱量の高いコアファンとは?ファンマーケティングのリアルを語る
【スピーカー】
■ サントリーホールディングス株式会社 スポーツ事業推進部
江澤 尚紀 氏
■ サントリーシステムテクノロジー株式会社 D2Cシステム部
鈴木 雄貴 氏
■ 株式会社グロースデータ ビジネスデザイン部
住田 晃彦 氏
■ 株式会社グロースデータ ビジネスデザイン部
飛松 信太朗 氏
■ 株式会社ソーシャルPLUS 代表取締役社長
岡田 風早 氏
コアファンは会場に来るからECで買い物をしない。データから見えたファンの本当の姿とは。
飛松 信太朗(以下:飛松):まずはファンマーケティングのリアルを聞いてみたいと思います。サントリーサンバーズさんの中で、熱量の高いコアファンに何か特徴はありますか?
江澤 尚紀 氏(以下:江澤):全てを理解しているわけではないのですが、おもしろいことに、コアファンの方はECではあまり購入をしていないという特徴があります。
実は、もともとはコアファンの方はオンライン・オフライン問わず商品購入の頻度が高いだろうと仮説を立てていたのですが、データを分析するとほとんどECでは購入していなかったんです。
飛松:それは驚きですね。どうしてでしょうか?
江澤:スポーツチームということもあり、コアファンの方はよく試合会場に来場していただいています。そして、会場で商品をたくさん購入していただいているんです。なので、追加でECで購入するということはほとんどありませんでした。
飛松:なるほど。
江澤:さらに、女性より男性の方が購入金額が高いという傾向も、オフラインのデータを取得して見えるようになりました。
飛松:サンバーズのファンの8割は女性とおっしゃっていましたよね?
江澤:そうなんです、なので我々も驚いたのですが...。要因を分析すると、男性ファンは既婚者の割合が高く、ご家族へのプレゼントも一緒に購入しているため、購入金額が高くなっているとわかりました。
このようにデータを使って分析すると、当初考えていた顧客層や仮説が違っているという発見もあり、新しい視点も生まれてきています。

クロスセッションの様子:熱量の高いコアファンはどんな人?
飛松:ありがとうございます。住田さんから見てもコアファンの方の特徴として何か感じることはありますか?
住田 晃彦 氏(以下:住田):そうですね、熱量の強いファンはチームというより選手が好きという傾向がある気がします。選手が好きな方は、好きな選手とコミュニケーションをとりたいから、会場に行く回数も多くなるんですね。
そうすると、試合会場でグッズも買うという傾向も出てくると思っていて、先ほど江澤さんがおっしゃったようなデータにもでているのではないかと思います。
飛松:なるほど。
私も車業界のマーケティングに携わったときに似たようなことを経験しました。熱量の高いコアファンの方は、ブランドが好きだというよりは、特定の車種が好きだという人のほうが多かったです。
ブランドに対する熱狂と、プロダクトに対する熱狂は少し違うのかもしれないので、バランスをとりながらコミュニケーションがとれるとよいのかもしれないですね。
スポーツを見る時間は短いので、日常の中でどう接点を増やすか
飛松:続いて、今後やっていきたいことをお伺いしたいです。
江澤:今回CRM基盤の話をさせていただきましたが、実はようやくデータ連携が整ったという状況で、まだまだ理想のCRM施策を実行できているとは言えない状況です。なので、これからCRMに注力したいと思っています。
データをしっかり分析して適切なコミュニケーションをとることで、もっとチームのことを好きになっていただく。その結果、来場頻度を上げるという、いわゆるLTVを高めるようなことをしたいと思っています。
そのための仕掛けとして導入した全自動ビールサーバーシステムに関しても、サントリーらしさがあると思っているので、会社全体を巻き込んで広めていけるといいなと思っています。
飛松:ありがとうございます。ぜひ!

全自動ビールサーバー
江澤:ファンの方がサンバーズやサンゴリアスに接する時間も増やしたいですね。
実際にスポーツを見ている時間って、非常に短い時間だと思います。スポーツを見ている間だけでなく、日常でも各チームのことを考えていただく時間を増やしたり、チームのことまではいかなくても、サントリーとの接点を増やしたりできればいいなと思っています。
飛松:日常の中に接点を増やすということは重要ですよね。
ここまでデータ活用の話を聞いてきましたが、大手メーカーを多数見ている岡田さんはベンダーの立場からどのように思いますか?
岡田 風早 氏(以下:岡田):はい。IDを統合してデータを蓄積したあとに、どのように活用していくかが重要だと思いますが、その戦略ってフェーズやブランドの方針によって最適なものが異なります。
例えば、1回購入(来場)いただいたお客様のうち、その後何回か来店はしているけど購入していない方に再購入してもらうためのアプローチをするのか、来店していない方にクーポンを送ってでも来店を促すのか。これらは、どっちがいいとかではなく、ブランドの戦略によって変えるものだと思います。
弊社はECを展開している企業様がお客様として多いので、再購入を促すためのコミュニケーションに悩まれている企業様は結構いることも実感しています。そのような各業界や各ブランドにとって購入に寄りすぎない最適なコミュニケーションを提案できるようにしたいと思っています。

ソーシャルPLUS 岡田氏
DXで必要なスキルは、部署に関係なくコミュニケーションをとること
飛松:最後は、DXで必要なスキルセットについてお伺いしたいです。DXってキャリアとスキルの異種格闘技戦かなと感じることが多いのですが、どのような心意気をもっていればよいのでしょうか。
鈴木 雄貴 氏:我々はITの領域を本業としている立場ですが、データやシステムのことだけではなく事業に入り込んでコミュニケーションをとっていくことが大事だなと思います。
接点をもつだけではなく、「本気で話し合う」「実際にチームの試合を見に行って現場を見る」といったことで、目の前の仕事について本質的に理解できるのかなと思います。
飛松:江澤さんも何かありますか?
江澤:私も同じで、いろんな人とコミュニケーションをとることは重要だと思っています。そうすると、知識の幅も広がりますし、自分に足りない素養を埋めてくれたりと、仕事を円滑に進められるようになると思います。
あとは、新しいことにも興味をもってチャレンジすることが重要かなと思います。お客様に発信する前に自分でやってみると、いろんなことが見えてきます。
飛松:ありがとうございます。
最後に:ID統合は多くの企業が難しさを抱えている
データを見ることでお客様の本当の姿を把握でき、心のこもった「おもてなし」を提供することができる。
ID統合に取り組み始めた際、江澤氏が考えていたことです。実際にデータを見ることで、これまで考えていたファンの姿とは違っている部分があるという発見がありました。そして、心のこもった「おもてなし」の提供に向けて、サントリーサンバーズはさらなる挑戦を続けていきます。
ID統合・データ活用プロジェクトは、会社全体を横断する大規模なものです。難易度も高く、多くの企業が難しさを感じながら進めています。もしも、「IDの共通化・活用」領域でお困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。各企業様に合わせた最適な方法を一緒に考えられますと幸いです。
2023年9月に開催したイベント「サントリーホールディングスと語る『LINE活用×ID統合の未来』」のイベントレポート一覧
第一部:サントリーのスポーツがID統合に取り組むのは、心のこもった「おもてなし」を提供するため。社内を巻き込むきっかけはラーメン屋の事例だった。
第二部:チームのファンの8割は女性だった。データがあったからこそ見えたお客様の姿とファンマーケティングの方向性。
第三部:チームへの好意度が高いほど、ビールはプレモル!「全自動ビールサーバー」でさらなる行動データの取得に挑戦するサントリーサンバーズ。
第四部:コアファンはECで買い物をしていなかった。データから見える熱量の高いコアファンとは?ファンマーケティングのリアルを語る
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執筆者紹介

東口 美睦
フィードフォースへ新卒入社し、データフィード管理ツール「dfplus.io」のセールスを担当。その後、App Unity支援チームに参加し、App Unityのマーケティングを担当。YouTubeチャンネルやブログ執筆を行う。


