IDソリューション

独占規制やデータ保護法が厳格化し、ネットワークは小さく緊密になる。

巨大なプラットフォーマーへの監視の目が厳しくなる

2020年代のはじまりに起こった新型コロナウイルスのパンデミックは、デジタルによる経済を急速に進行させるとともに、Google、Apple、Amazon、Facebookなどの巨大なネットワークを持つテック企業をより大きく成長させるドライバーにもなりました。加えて、新型コロナウイルスに関わる対応と急速なデジタル経済化によって、政府や企業が一般生活者の個人に関するデータを収集・保有・利用する機会が大きく増加しました。

これらの政府・巨大なテック企業のデータ活用は、安心・便利な社会の形成に寄与していますが、一方で多数のデータを保有することによる市場の独占や、データそのものを保護するための規制について必要性を問う議論が進展しています。特に巨大なプラットフォームに関しては、独占の禁止、データ保護の厳格化といった監視の目が厳しくなっています。

反トラスト法による巨大プラットフォーマーへの規制の議論が進む

世界中にたくさんのユーザーを持つ巨大プラットフォームは、市場での支配的地位を利用して競争を阻害したり、ユーザーの利益を損なう可能性があるビジネスモデルにさまざまな規制の目が向けられていて、今も議論が展開されています。

Appleに対する規制と影響

Appleの売上の2割程度を占めるようになったApp Storeの支払い方法と手数料のシステムに規制の目が向けられています。App Storeで配布されるアプリへの支払いはすべてAppleの支払いシステムの使用を要求している点が、潜在的な独占行為に当たるとされて裁判が進んでいます。Appleの現在のビジネスモデルが独占的だと判断されることになれば、アプリを提供する企業はAppleの決済システムとは別の決済手段を採用し、それを新しいつながり方に変えていくことを検討できるようになります。

Googleに対する規制

GoogleはAppleと同様にアプリの提供方法に関しての指摘があるのに加え、広告およびGoogleショッピングの検索結果について、競合他社よりも自社サービスを優遇する可能性があるという反トラストに関わる指摘を受けています。

Meta(Facebook)に対する規制

Metaは彼らが運営するソーシャルメディアプラットフォームが公共の議論を形成する上で大きな影響力を持ち得ること、これまでのInstagramやWhatsAppのように潜在的な競合を吸収する能力を持っていることなどが、反トラストに関わる調査の対象となっています。

これらの巨大プラットフォーマーに対する規制の強化は、それまでプラットフォームを介してのみ自らの顧客とのつながりが持てなかったプレイヤーに対しては機会としても捉えることができます。これまでの繋がりの分断にもなりかねない規制の強化は、一方でつながりを再接続するためのきっかけにもなっていきます。

データ保護法の厳格化による影響

急速なデジタル経済化により、企業や組織が個人に関するデータを収集し、分析・利用する機会が増加しました。このような状況は、個人のプライバシー保護とデータの安全性に対する新たな課題を引き起こし、各国・各地域でデータ保護法の導入や見直しが進んでいます。

データ保護に関する法律

欧州:GDPR(一般データ保護規則)

GDPRはEU域内での個人データの処理に関する包括的な規則を定めています。データの最小化・透明性・主体の権利強化など、世界で最も厳しいと言われている要件が定められています。

米国カリフォルニア州:CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)

CCPAはカリフォルニア州の消費者に対して、自身の個人情報に関するアクセス権・削除要求権・販売拒否権を認めています。2020年1月に適用が開始され、アメリカで最も人口が多く、IT産業の中心地である地域でもあることから、米国全土・全世界への影響が大きく、注目される法律です。

日本:個人情報保護法

日本の個人情報保護法は、個人情報の適正な取り扱い・利用目的の明確化・第三者提供の制限・安全管理措置・利用者の権利尊重などが規定されています。改正を繰り返し、罰則強化や個人情報利用の停止・消去等の請求権が与えられるなど厳格化が進んでいます。

こうした各国・各地域のプライバシーに関する法律の導入・強化の進行によって、ユーザーの同意なしに個人データを収集・利用することが大きく制限されるようになりました。その影響を大きく受けるのが、ブラウザから付与されるクッキーによって収集・活用されてきた情報です。クッキーの制限によって、広告やマーケティング手法にも大きな変化点がやってきました。

サードパーティクッキーが廃止され、顧客理解の方法が変わる

サードパーティクッキーは、ユーザーが訪れた異なるWebサイト間でユーザーの行動を追跡し、そのデータを利用してターゲティング広告を表示するために使用されてきました。クッキーの活用は高い広告効果をもたらし、企業やマーケターにとって非常に価値があるものでしたが、ユーザーのプライバシー侵害につながるとの懸念が広がり、以下のような議論・対応が進んでいます。

プライバシーへの懸念

オンラインでの活動が広範囲に渡って追跡され、その情報がマーケティングに活用されることに対して多くのユーザーが不快感を覚えるようになりました。

規制の強化

前述のデータ保護法の厳格化にともない、ユーザーの同意なしに個人のデータを収集・利用することを制限するようになりました。

ブラウザの対応

Appleは自社のブラウザ「サファリ」で、2017年にサードパーティクッキーを制限する取り組みをはじめ、2020年には初期設定で全面禁止しました。日本国内のパソコン向けブラウザ市場で6割を超えるシェアを握るGoogleも、自社ブラウザ「クローム」で2020年にサードパーティクッキーを廃止する計画を打ち出し、2024年後半から段階的に全廃を進めていくと発表しています。

サードパーティクッキーの廃止は、オンラインプライバシーを重視する現代のトレンドに沿ったものであり、これによりインターネット上のプライバシー保護の強化が進行していきます。一方で、クッキーを駆使して高い効果を実現し右肩あがりの成長を続けてきたネット広告は転換期を迎えています。

企業と生活者が直接つながり緊密で小さなネットワークができる

反トラスト法やデータ保護法の厳格化によって、2000年代〜2010年代にかけて巨大化を続けてきたビッグテック、プラットフォーマーによる大きなネットワークが転換期を迎えています。2020年代は企業と生活者が直接つながる小さなネットワークが各所で進んでいくと考えられています。ユーザーの同意なしに収集・利用されてきたデータは、生活者がつながっても良いと思える企業にだけ、直接同意を得ることで取得するようになります。このように誠実に相互に認知し、提供する情報を確認し合って関係がはじまる誠実なネットワークでは、企業と生活者のより緊密な情報のやり取りが期待されます。緊密で小さなネットワークがポストクッキー時代に広がっていきます。

小さく緊密なネットワークによって深い顧客理解と高い顧客体験の実現が進む

ポストクッキー時代の緊密で小さなネットワークの鍵となるのが、企業がユーザーの同意を得て取得したIDだと言われています。企業IDやブランドIDなどを企業・ブランド単位で統合されたIDを軸に、顧客とコミュニケーションを交わすことが求められています。加えて、IDを共通化することにより、多極化する顧客接点を横断してIDに基づく細やかなデータを元にマーケティングに関わる企画・施策実行ができるようになります。サードパーティクッキーのような第三者から提供されるデータではなく、直接つながりIDを通して細やかな理解を進めることができるファーストパーティデータを活用し、深い顧客理解と高い顧客体験を実現していけるのが、小さく緊密なネットワークの利点です。

App Unityでは企業と生活者の新しいつながり方となる「IDソリューション」を提供しています

App Unityでは店舗、ECサイト、コミュニティサイトなど、さまざまなチャネルのログインID・顧客情報・ポイントを独自開発することなく低価格で連携するための「IDソリューション」を提供しています。ポストクッキー時代の緊密なネットワーク作りの鍵となり、深い顧客理解と高い顧客体験を実現するためのIDの活用・検討の際にはぜひご相談ください。

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執筆者紹介

舟久保 竜

総合マーケティング会社で23年間、NBメーカーの商品開発・販促企画のアイディア創出のための調査から、クチコミマーケティングの企画・施策実行までの支援を行う。新しいモノが買われなくなるレコノミーの時代の到来を実感し、フィードフォースに加入。統合IDとCDPを活用した人間中心のマーケティングのためのSDL構築と、生活者と企業の新しい生態系「IDecosystem」の実現を目指す。

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